ラオスとタイを毎日、元JR西日本の寝台車(14系・24系)が連結された夜行列車が走っていると言うので乗車してきました。
ラオスの首都ビエンチャンは「世界一何もない首都」と言われており、まあ確かに他のアジア諸国に比べると華やかさは無いですね。
この街にも中国の魔の手は伸びてきてこの先が心配されるところです。
ビエンチャンには中国から伸びるラオス中国鉄道のビエンチャン駅とタイ・ラオス鉄道のヴィエンチャン駅 (カムサワート駅)の2つがあり
バンコク行はカムサワート駅から発車します。
バンコク行134列車は18:25発車です。駅で出国審査があるので17時前に市内のホテルから配車アプリを使って車を手配してカムサワート駅へ向かいます。

タイ・ラオス鉄道のビエンチャン駅
途中、建設の止まった高層マンション群を見ながら約20分程で到着です。
まあ駅も中国マネー風のだた立派だけな駅です。
でも周りは郊外ののどかな風景で駅には放牧?されている牛が・・・

駅前に牛
駅構内はだったひろい割には何もありません。一応両替所や売店などもありますが営業しているのはコンビニ風の売店だけです。
両替所でラオスのキープをタイバーツにしたかったのですが、これは予想外です。
列車のキップは事前にタイ国鉄のホームページから購入していたので早々に出国手続きをします。
出国カードに記入して審査場でパスポートを差し出すと、10,000キープ(約80円)必要だと言います。おっと出国税が必要のようです。タイバーツでも良いと言いますが、タイバーツは無いし、出国するとキープは両替出来ないので売店で買い物して残りは4000キープしか持ち合わせなく、後は日本円だけです。
タイバーツも無い、日本円しか無いと言うと判ったかのようにパスポートに出国印を返して差し出した4000キープも返して呉れました。
うーん、そんなんで良いのか?と思いつつホーム側待合スペースのベンチに座って待ちます。
ホームは本側の1番線と島式ホームの2、3番線がありますが、なんせ列車は2往復だけ。当然1番線だけです。
列車は朝、バンコクから到着した列車が折り返しウドンタニ行になりそこで留置され、17:55に戻って来る運用です。

ウドンタニからの列車が到着です
列車到着時はホーム側に出てはダメと規制されるのでホームからの撮影が出来ないのが残念です。
タイから乗車してきた乗客、10名位が下車していき機関車の機回し作業が終わった頃に乗車開始となります。
乗車口には車両番号札が出てますのでそれを確認して乗車します。

ラオスで14系が見られるとは・・・
編成はバンコク方から、3等座席車2両と2等寝台車、2等エアコン座席車、2等寝台車の3両で2等車が元JR西日本の車両になります。
2等寝台車は共に車掌室がある1エンドがバンコク側に固定されているようです。
マニアとしてエンジンがどっちに付いているかが気になります。
エアコンなどのサービス系電源用の発電機が床下にあるので発電機がある車両はエンジン音が大きいのです。
幸いな事に12号車のエンジンが稼働しており乗車する14号車は発電機は使って無いようです。
ちなみに今回乗車したANS204は1978年富士重工業製の元オハネフ15-15です。オハネフ15ですがマッカサン工場で発電機搭載されていてます。
ホームが低いので乗車するのが一苦労なのが元JR車の悪いところですがこれも海外ならではの体験です。今回は25番の下段寝台が自分で24番上段が友人が使います。乗車時点では寝台はセットされていません。
反対側の下段はタイ人の女性、上段はアメリカ人の女性バックパッカーで簡単に挨拶を交わします。それに結構、日本人の旅行者も乗車しており日本人率が高いなぁ~と笑ってしまいます。

発車を待つ134列車
発車の鐘が響き18:25定刻にビエンチャン駅を発車します。すぐにラオス側乗務員が検札に回ってきてハンドマイクで次のノーンカーイ駅でタイの入国審査があるので全ての乗客は荷物を持って下車して手続きを済ましてからノーンカーイ駅発車20:15までに再乗車するようにと英語の案内があります。
列車は10分ほど走りターナレーン駅で一旦停車した後、友好橋へ向けて走り出します。
午前中に橋をわたる列車を撮影しに来た友好橋をゆっくりと渡って行きタイ側へ入り18:45にノーンカーイ駅に到着です。隣にはノーンカーイ駅19:40始発の特急列車が停車している中、1番線に到着します。
荷物を持って列車から下車すると入国審査場は列車先頭側なので歩いて列に並びます。
タイでは事前にネットで入国カードを登録する必要があります。日本出発前に登録して発行されたQRコードとパスポートを提示して問題無く入国出来ました。タイはネット申請がデフォになってますのでこれをしておかないとその場でネット申請することになって面倒なので要注意です。
税関では麻薬検査犬によるチェックがあり一旦駅舎外に出ます。
さてタイバーツを入手しないといけません。なんか買い込んで車内で食べようと思っていたのですが、駅前に両替所が無くこりゃ食事難民かと、付近にATMが無いか探しているとなにかATMらしきマシンがあったので見ていると「これはATMじゃないよ、SIMの販売機だよ」と日本語と話しかけられます。
なんと食堂のおじさんが日本人で、それも有名な「食事処」のところだったのです。

白いシャツを着ているのがこちらのオーナー藤川さん「
事情を話すと日本円で食事させていただける事になりました。
いやー助かりました。
後から来た隣区画に乗車していた日本人の女性バックパッカーも合流してタイビールで乾杯。
女将さんが作って呉れたガパオが美味い。

ガパオがうまい!
でも数年後には中国の魔の手がココに及ぶそうです。中国ラオス鉄道がタイまで延伸されノーンカーイ駅が高架になって立ち退きになるそうです。計画では2年後だそうですがまあ早くて5年後だろうと笑ってましたが、この食事処と一緒に14系の134レも運命を共にするかもしれません。
もはや日本では廃れた長時間停車のお陰(まあ入国審査があるからですか)での至福の時間を過ごしお釣り相当のビールをもらって後列車も戻ります。ビエンチャン駅発車時点では5両でしたが増結が行われて前に8両位3等車が増結されています。

ノーンカーイ駅
寝台車に戻ると寝台がセットされています。食事処でもらったビールで歓談してたら車掌が来て車内では飲酒禁止、外で飲めと言われてホームで立ち飲みです(汗)
もう発車だから乗れと促され、残ったビールを捨てて車内へ。
そっか寝台で買い込んで居た人たちはカーテンを締めて飲んでいたんだな・・・
列車は定刻でノーンカーイ駅を発車します。
発車後にタイ側車掌の検札があり、その後列車散策にも出かけてみました、2等寝台車と3座席車の間は車掌がいて自由に行き来出来ないようになっています。

左が3等客車 右が2等寝台
タイは鉄道運賃が安く、ビエンチャンからバンコクまで3等座席だと1500円程度です。
寝台でも3500円と日本に比べて破格なお値段です。
正直サンライズに乗るより絶対こっちの方が楽しいです。(まあタイまでの航空券代が掛かりますが)
14号車に戻り通路の折りたたみ椅子を出して3人で歓談していると結構冷えてきました。
クーラーがガンガンに効いていてさっきまで汗流しながら食事してビールを飲んでいたので急速に体が冷えてきます。風邪を引かないように少し厚手の長袖Tシャツに寝巻き用長ズボンに着替えます。
ウドンタニに停車し、その後いくつか途中駅に停車して22時頃に照明が少し暗くなったのでお開きにしてベットに横になります。
横になって気付いたのですが、駅発車時のショックが無くまるでお召し列車のようで、さらにレールがロングレールでジョイント音もあまり無く軌道も良くて揺れないのです。
日本の夜行列車では発車時のショックで目が覚めると言うことがありますが、こちらでは駅停車した際にホームの放送で意識がぼんやり戻ると言う事があるだけで総じて「日本の夜行列車より快適」なんです
でもクーラーで車内は寒い。これは要注意です。長袖、長ズボンは必須ですな
朝6時に通路をこぴ~と言いながら車掌が回って来ます。コーヒーのようですが20バーツとの事で無料じゃ無いのです。
スマホの充電も完了していたので充電器を回収します。

コンセントもあります
以前乗車した際は結構、日本時代のもが残っていて「下関運転所」のシールの貼られた消火器とか配電盤のスイッチ表示とかあったのですがさすがにそういうのは減ってましたが、日本語
6:20にアユタヤ駅に到着。何人かの乗客が降りていきます。
どうやら列車は定時で運転されているようです。
以前は遅延が多かったタイ国鉄ですが、最近では定時運行も珍しくありません。
外も明るくなってきて車窓もバンコク郊外で住宅が多くなってきます。
7時ころから寝台リネンの回収が始まります。
回収したリネンの袋を適当に寝台に乗せておくので下段が狭くなりので荷物は一旦上段に退避させておきます。(笑)

上段はこんな感じに
昔はココがバンコクの玄関でしたが・・・
そしてドムアンからは高架複々線を走行します。

高架複々線を走ります
郊外電車のレッドラインともすれ違いながら小田急の高架複々線を走っている様な感覚になります。
前回チェンマイから乗った時はまだ地上でしたから変わりように驚きです。
7:30ついに列車はクルンテープアピワット駅に到着です。

終点です。どなたさまもお忘れものがないように
いつまで走るかわからない14系にもう一度乗りに来たいものです。
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