国交省が鉄道を捨てる?

大糸線 鉄道
バス転換が検討されている大糸線JR西日本区間

国土交通省は利用者減で存続が危ぶまれる地方交通路線について、バス転換を促すような施策について検討を始めた報道がありました。

以前から地方交通の在り方について、国土を公共交通、福祉、労働環境、観光、国防の観点から総合的な政策立案が必要であることを表明していましたが、バス転換と言う短絡的な発想になるとはちょっと驚きです。

公共交通の側面や短期的ビジョンから見ればバス転換は妥当な判断です。

定時性に劣ると言う話もありますが、地方の交通事情から大幅遅延するのは何かしらの特殊事情によるものですから都心のような慢性的な渋滞が無い限りほぼ定時(±5分位)で運行出来ていると思いますし鉄道よりダイヤ編成には柔軟性があります。

ですが長期的に見た場合、本当にそれで良いのか?
なにせ、ローカル線に抱える問題に沿線住民の都会流出と言う問題があります。

かつてのローカル線の主顧客だった学生が卒業し、都会で就職して生活基盤を設けていきます。年老いた両親を田舎に置いておくのは心もとないと言うことで都会に呼び寄せるて生活すると言う話も良く聞きますし、現に地方に行くとつい最近まで住んでいたような家屋も多かったりします。

さらに沿線住民が減りバスにしても利用者が減り続けるのは目に見えていて利用者が減れば、バスも減る訳です。いわゆるストロー現象が加速している現在ではバス転換したところでローカル交通は維持できないのです。

そして地方交通の2番目の主顧客である通院客はどちらかと言うとバス転換した方が利便性が向上する可能性もあるのですが、そもそもコミュニティバスでも充分賄っていると言う地方もありますから利用者増の期待は出来ません。(まあバス転換に合わせてコミュニティバスのと統廃合による効率化は考えられますが)

労働環境を挙げているのは、そういう若者が都心に流出しているなかどうやってバスの運転手を確保していくかと言う問題もあります。
AIを使った自動運転技術も期待するところなのですが、人が要らないという事は労働力を必要としていないことなので働く場所が減るわけで、バス運転士と言えどもますます地方で若手が職を得ることができず都会流出を加速させることになります。

観光の側面は色々語られていますから省きますが、最後の国防については一言。
北海道はロシアと目と鼻の先です。日本海を隔ているとは言え大陸には北朝鮮や中華帝国と隣り合っているのです。
個人的に万一、国境がきな臭くなった際に海岸防衛の戦車輸送が必要になった時どうするんですか?と北海道知事に聞きたいですね。
まさか国道を自走させてなんて言うのでしょうか?
鉄路があれば万一の輸送手段として有効だと思うのですが・・・

以前にも記事にしましたが、スイスではアルプスを貫くゴッタルドベーストンネルが開通した後も山岳路線の旧ゴッタルド峠のルートも万一に備えてオンライン状態にしてます。
乗らないから要らないのでは無く、もっと日本の国土のあり方を見据えた議論が出来ないものかと思うのですが・・・

まあ、大臣が宗教団体を母体とする政党出身者じゃ駄目かな。

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